Mj Interview vol.03
「信州ブレイブウォリアーズ」代表 片貝雅彦
Masahiko Katakai Interview 2
昇格までの軌跡
ホームタウンへの感謝と
4000人の光景を胸にB1へ
片貝社長が経営統括責任者に就任し、まる9年が経過した。さまざまなことがあったであろう9年間を振り返ってもらった。
「まず、最初にお話ししておきたいのは、ウォリアーズの誕生を可能にしてくれたホームタウン千曲市の近藤清一郎前市長の存在です。実は、ウォリアーズが旧リーグ(bjリーグ)に参入するまでに5年もの月日を要しました。最大の理由はフランチャイズシティを見つけられなかったこと。私がウォリアーズに参加させていただく前の話です。当時から国内の屋内競技のプロリーグは自治体の体育館を借りてホームゲームを行うクラブがほとんどで、試合会場施設のみならず、地元行政の物心両面の支援がなければ成り立たない現状が続いています。そんななか、近藤前市長は【ウォリアーズで千曲市を活性化させる】と行政トップの立場からウォリアーズの誘致理由と存在意義を唱え、市役所内はもちろん、市議会や商工団体等、市内のあらゆる場所でウォリアーズをアピールしてくださったのです。これがウォリアーズの原点。弊クラブが企業理念として[バスケットボールを通じて信州をもっと元気にする]を掲げ、バスケットボールを手段として、街おこしを目的に活動する源です。この流れは千曲市の岡田昭雄現市長に受け継がれており、ウォリアーズは千曲市の観光大使としての活動も行っています。
そして、長野市がホームアリーナとして『ホワイトリング』の使用を許可してくださり、ホームタウンとしても加わってくれたことも、クラブにとって大きな分岐点でした。以前は、シーズンに1、2節ほど、長野市でホームゲームを行っていましたが、Bリーグが発足して1部リーグに参入するためのクラブライセンス制度には〈五千人収容規模をホームアリーナとして、8割以上のホームゲーム開催を行うこと〉という基準があり、この基準をパスできる施設が千曲市にはありません。可能にしてくれたのは、長野市の加藤久雄市長をはじめ、文化スポーツ振興部の方々。この動きがなければウォリアーズのB1昇格はありませんでした。加藤市長がバスケットボールとウォリアーズの潜在価値を見い出してくださり、冬季五輪を開催した長野市として、ウォリアーズを活用したスポーツでの街づくりのため、道を切り拓いてくださったのです。
最後に、旧リーグの時でしたが、今のホームアリーナのホワイトリングでの公式戦で、4000名弱のお客様が入場してくださった試合がとても印象に残っています。大きなアリーナの最上段までお客様が座っている光景は、まさにB1で毎試合実現しなければいけないこと。あのイメージを持ってホームタウン長野市と千曲市の地域活動に益々注力していこうと思っています。
これら以外にも、9年間という年月の中には、良いことも悪いことも沢山ありました。今後も決意を新たに、ウォリアーズの非日常的な価値(感動や夢・希望)を提供し続け、長野県民の皆さまの日常に浸透させていきます」
続く・・・
Masahiko Katakai Interview 3
プロスポーツと地域
Masahiko Katakai Profile
1978年生まれ、群馬県高崎市出身。米国ネバダ大学リノ校卒。
2004年から米国バスケットボール独立リーグABAのクラブ「ハーレムリバイバル」創設運営スタッフとして勤務。2008年に帰国し、旧プロリーグ ㈱日本プロバスケットボールリーグ「bjリーグ」に入社。2010年に株式会社信州スポーツスピリットの経営統括責任者に就任する。2011年にプロバスケットボールチーム「信州ブレイブウォリアーズ」をbjリーグに参戦させ、2012年に同社代表取締役社長に就任し、現在に至る。2016年の男子プロバスケットボール新リーグ「Bリーグ」誕生に伴い、ウォリアーズをB2(2部)中地区に参戦させ、自身は公益社団法人ジャパンプロバスケットボールリーグ「Bリーグ」理事に就任する(2019年9月退任)。翌2017年には一般社団法人信州スポーツアカデミーを設立し、代表理事に。一般社団法人長野県バスケットボール協会でも理事となる。2019年 4月、Bリーグ参戦後初となるB2中地区優勝。2019年 5月、クラブ創設初となるB2リーグ優勝を果たす。さらに2020年 4月、Bリーグ参戦4季目で2季連続の中地区優勝、最終順位リーグ1位となり、クラブ史上初めてB1ライセンスが交付され、来季2020-21シーズンのB1昇格が決定。
今季10周年目を迎えるウォリアーズは、日本一のバスケットボールクラブを目指し地域愛着活動を続けており、その先頭で陣頭指揮をとっている。