
人との接触を減らす自粛期間にミニバスチームができること
「体育館からドリブルの音が消えた。」
新型コロナウイルスの感染防止のため、2020年3月から活動自粛が続くスポーツ界。
ミニバスも例外ではなく、全国大会や地方の新人戦が軒並み中止に。
3月は6年生が5年生に引き継ぎをし、卒団を迎える時期。我がチームも卒団式を延期し、第24期の活動は事実上終了となった。
4月には非常事態が宣言され、体育館どころか、町からも人が消える。
筆者がコーチとして入団して以来、ひと月以上も練習がなかったことは今回が初めて。男女とも24期に史上最高の成績を残しただけに、さらなる高みを目指していた25期活動がスタートできないことに不安が募り始めていた。
そんな時、Mj(南ジャンプス)代表の掲げた言葉が脳裏をよぎる。「環境のせいにして、できないと諦めるのではなく、どうやったらできるのか?を考えよう!そういうチームにしよう」
2020年1月より、長野に拠点を置き、プロチームのアンダー世代のコーチングを統括している代表は、就任してすぐにU-15やバスケスクールといった活動が制限され、この状況下で何ができるかを模索していた。
SNSやビデオ会議での何度かのやり取りを経て、オンラインで小学生のプレイヤーに練習指導ができないか?という案が出てきた。
連絡が取れる親御さんに3月、4月の子どもたちの状況を聞くと、多くのプレイヤーが自宅でバスケットボールに触れ、できるだけ体力を落とさないために、公園等で走っていた。「これでいいのかな?」という不安を胸に。
通常なら、土曜日と日曜日の午前中は小学校の体育館で練習をしている。であれば、その時間帯を使って、全員が自宅や近くでハンドリングやドリブルやステップの自主練ができるのではという具体的な練習プランの骨子が見え、どうやって指導するかを考えた結果、下記のような形が生まれた。
LINEで全コーチと全プレイヤーの親をグループ化
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AM10:00〜12:00の練習内容をコーチから事前告知
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プレイヤーが練習している模様を動画撮影
※ルールは10秒以内↓撮影した動画をすぐにタイムライン上にアップ
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コーチ陣が動画をすぐにチェックしてフィードバック
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プレイヤーが指摘された部分を修正しそれを動画撮影
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修正した動画をタイムライン上にアップ
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コーチ陣が動画を再度チェックしてフィードバック
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必要な時はコーチが参考動画を撮影しタイムラインにアップ
タイムライン上のテキストだけではどうしてもわからない動きを動画で即座に見せる。
2時間の間、述べ男女で200ほどのアップを双方向で繰り返し、「これでいいのかな?」を「これでいい」という安心に変え、目に見えて上達しているのがわかる。
「プレイヤー・センタード」大切なのはプレイヤー本位であること。
どんな環境でも、できることがある。
バスケを通して、子どもたちにそんな思いを伝えられたら、練習ができない状況ですらも必然と捉えられそうだ。
真剣に取り組んでいる練習動画は、プレイヤー同士の刺激にもなり、4月後半からのStay Home Weekを含め、全土日祝日で実施できた。
プレイヤーそれぞれの上達ぶりは、距離の関係ないオンラインで長野にいる代表にも共有。今後の練習方法や内容の改良を日々精査している。
「南ジャンプスの挑戦」
土日のみだった体育館での練習。
当たり前だと思い、常識だったこれまでの概念を覆し、オンライン・プロジェクトの成功で、次のステージへ。
プレイヤーの動画を見れば、次、やるべきことが頭の中で見えてくるはず。
次の土日もMj Online Projectで汗を流す。
できるだけ早く体育館にドリブルの音が響き渡ることを願って。
平日用に出した課題に取り組んだプレイヤーの動画がこちら